遠距離に住んでいる親に少しずつ衰えが見えはじめると、子供にとっても親の介護を意識するようになります。
特に近年では、テレビや新聞などの報道においても「遠距離介護」「介護離職」などの言葉を聞くようになりましたので、ネガティブなイメージを持っている方も多いかもしれません。
介護が必要になったとしても、自分にとっても親にとっても負担のないように介護に取り組んでいかねばなりません。
実際、親の介護を一人で抱え込んでしまって、疲弊してしまったり、うつ病になってしまう介護者は少なくないのです。
ここでは遠距離介護を成功させために、どのように取り組んでいけばいいのか、その方法や注意点、姿勢などについてお伝えしていきましょう。
目次
近くに住んだほうがいい?仕事は辞めたほうがいい?
遠距離介護がいざ始まってしまうと、「同居や近居しなきゃ…」「仕事を辞めて介護に…」と考える方がとても多いことが知られています。
確かに高齢の親からしても、近くに子供の存在があるのであれば、とても頼りになることは間違いありません。
「いっしょに住んでほしい」という言葉があるかもしれません。
同居や近居、退職について、どのように対処するかについての正解はありません。
ただ自分自身の家庭を大事にすることや、自分自身の生活を考えることは親の介護に取り組むための大前提になるものです。
親の介護のために自分の家庭を犠牲にしたり、自分自身の健康を損なうようなことであれば、これは間違った介護の方法だと言えます。
高齢の親からしても、近くに居てくれるのはありがたいでしょうけど、子供の幸せまで奪おうなんて考えることはないはずです。
むしろ「子供には迷惑かけられない」「子供に介護してほしくない」という意見の高齢者はとても多いのです。
そのため同居や近居・退職の道を選ぶ前に、まず現状の生活で自分自身が親に対してできることを考えます。
遠距離に住んでいるとしても、体の不自由な親のためにできることはたくさんあります。
では次に遠距離でも介護を成功させるポイントについてお伝えしましょう。
遠距離介護を成功させるポイントは?
私たちは高齢になると、体が不自由になったり判断ができなくなったりするために、とても不安が大きくなります。
遠距離介護を成功させるポイントは、直接的な介護を行うということではなく、この不安に寄り添うことにあります。
高齢者の多くは生活上の不安を解消したいと考えているのであって、子供から介護を受けたいという訳ではないのです。
どのような不安を抱えているのかというと次のようなものとなっています。
「最近、膝が痛くなってきたけど、歩けなくなってきたらどうしよう…」
「外出したいけど転んでしまうのが怖い…」
「このまま介護が必要になったら、どうすればいいんだろう…」
「いつものお医者さんのところにも通えなくなるかも…」
このように迫りくる老いに対して、不安を感じているのです。
その不安を解消するために大事なことは「不安に寄り添うこと」です。
不安に寄り添うためには、こまめに連絡することでもできますし、必要に応じて介護サービスを受けられるように手配することでもいいでしょう。
たまに帰省した際に、かかりつけ医にいっしょに通院し、主治医からの意見を聞いておくことも一つです。
そのような支援方法なら、いきなり同居や近居・退職する必要もなく、たまに帰省のための有給休暇を取得するだけでも対応可能です。
職場に事情を伝えておけば、優先的に休暇を取得させてもらえるかもしれません。うまく介護のための休暇制度を利用することも検討してみるといいでしょう。
遠距離介護での介護サービスの利用方法
介護者の中には、自分自身で介護を抱え込んでしまい、介護サービスにうまく任せられないという方がおられます。
しかし遠距離介護を成功させるには、介護サービスをうまく活用することがとても大事なことになります。
介護サービスに任せてしまうことは、決して親の介護を放棄するのではありません。
高齢の親が本当に望んでいる介護をうまく介護サービスに繋げるために、その仲介役として介護者が親の気持ちを伝えるようにするのです。
介護サービスをうまく受けるためには、サービス側に自分が望んでいる介護内容を伝えなければなりません。
しかし介護サービスを受ける高齢者の中には、うまく自分の気持ちをサービスに伝えることができない方も少なくありません。
サービスであるとしても、自分のお世話のためのものですから遠慮してしまうのです。
そのため介護サービスと親との間に、介護者が介入して気持ちを伝えれば、本当に受けたいサービスを利用できるようになります。
介護サービスの担当者と連携を図って、親の気持ちを伝えてあげることでもいいでしょうし、仲介するだけでも親としては安心できるものになります。
担当のケアマネジャーは月に一度程度、自宅に訪問されますから、その訪問にあわせて帰省するのでもいいでしょう。
そうやって介護サービスに介護をお任せし、必要に応じて状況を確認するようにすれば、自分自身も介護サービスを受けている親も安心して生活ができるのではないでしょうか。
まとめ~遠距離介護を成功させるには介護者の姿勢も大事
遠距離介護をうまく続けていくためには、家族が介護を抱え込まないようにして、うまく介護サービスに任せていくことが必要になります。
必要に応じて電話連絡したり、帰省するようにすれば、親の不安を軽減させることができるのです。
介護者が親の介護を抱え込みすぎて、疲弊してしまうということが少なくありません。親も自分の健康的に暮らしていくためには、介護に対する姿勢がとても大事になるのです。