親の介護で心身のストレスを軽減させるコツは、『在宅介護サービス』をうまく活用することにあります。
ただ在宅介護サービスを利用してから、さらにストレスが大きくなったという方も少なくないのが事実です。
なぜそのようなことが起きるのでしょうか。在宅介護サービスで負担を軽減することはできないのでしょうか。
ここではストレスになってしまう理由をご紹介し、ストレスを軽減させる方法、うまくストレスを軽減させることができた事例もお伝えしましょう。
目次
親が在宅介護サービスを活用してもストレスになる3つの理由
- 在宅介護サービスの利用を嫌がられてしまう
- 在宅介護サービスにうまく任せられない
- 在宅介護サービスのスタッフと連携が図れていない
親が在宅介護サービスを利用し始めたとたんに、介護者のストレスが増大してしまったというケースは少なくありません。
その理由として上記の3つのポイントにまとめることができます。
順番にご説明していきましょう。
親に在宅介護サービスの利用を嫌がられてしまう
在宅介護サービスが苦手であったり、嫌がられるようなことは珍しいことではありません。
例えばデイサービスの利用日の朝になると「行きたくない」「体調が悪いから」などという理由で、休みがちになってしまう方がおられます。
最初のうちは宥めたりすかしたりしながら利用できていたものの、このようなやり取りが続いてしまう中で、送り出す家族が疲弊してしまうことがあるのです。
ついには利用しているサービスを中止してしまうようなこともあります。
在宅介護サービスにうまく任せられない
在宅介護サービスを利用していると、介護者は基本的に傍にいないことが多くなります。
自分の手で介護しないようになると「こちらがお願いしてことをきちんとやってくれているだろうか」と心配になってしまう方がおられます。
あるいは「もっとこうしてほしいのに」「安心して任せられない」と、不満を抱くようになってしまうこともあります。
介護者の負担軽減のために在宅介護サービスを導入しても、これでは心身の休まるときがなく、さらにストレスとなってしまうのです。
在宅介護サービスのスタッフと連携が図れていない
介護者が仕事などで忙しい場合には、在宅介護サービス側とコミュニケーションが取れないということがあるかもしれません。
そのような状況で、親から在宅介護サービスへの不満などを聞いたような場合には「きちんと介護をしてくれているのだろうか」と考えてしまうようになります。
在宅介護サービス側からすれば、必要だと判断して取り組んでいることでも、本人が不満を抱くようなことも時には起きてしまいます。
そのような認識のズレを確認できないままでいると、どうしても不満を積み重ねてしまうことになってしまいます。
在宅介護サービスに対する姿勢を変えてみよう
在宅介護サービスは、介護が必要な高齢者に対するサービスですが、同時に介護者の負担を軽減させるためのものでもあります。
しかしうまく任せることができないでいると、いつまで経っても負担軽減には繋がらないのです。
まず担当のケアマネジャーやサービス担当責任者と連携を図り、困っていること、やってほしいことなど、介護者の情報も共有することが大事です。
なぜそのように思うのか、介護者の想いを伝えることができれば、その想いに対しても対応してもらうことができるようになります。
すると少しずつ安心感を持つことができ、ストレスを軽減させることができるのです。
ストレスを軽減できた在宅介護サービス活用の具体例
井上トメさん(仮名 82歳 女性)と、その娘 良子さん(仮名 58歳 女性)の2人は近隣に住んでおり、日常的に娘様がお母様を介護して生活されていました。
しかし娘様の体調が悪くなってしまい、お母様に在宅介護サービスを導入することになりました。
ある日を堺にして、お母様は「デイサービスに行きたくない」と言われるようになりました。理由を聞いても答えないお母様の姿をみて「デイサービスで介護してもらえなかったのでは…」と不信感を抱くようになりました。
そしてさらに娘様の体調が悪くなってしまいました。
ただお母様がデイサービスに行きたくない理由は、お母様の認知症の進行にありました。デイサービスで物を盗られたと思うようになっていたのです。
しかし担当のケアマネジャーから現在のお母様の状況について詳しく説明を受ける機会があり、娘様の抱いていた誤解を解くことができました。
そしてサービスを適切に調整することによって、うまくデイサービスを利用できるようにもなり、お母様はいきいきと生活されるようになってきたのです。
娘様もお母様の姿を見ることで、安心して生活ができるようになったのです。
まとめ
介護は介護者だけが抱えてしまうことでによって大きなストレスとなり、場合によっては「介護うつ」と呼ばれる精神疾患のきっかけとなってしまうことがあります。
そのような状況を避けるためには、介護者自身も在宅介護サービスとうまくつき合っていく必要があるのです。
在宅介護サービスに対して、気兼ねしてしまう方もまだまだ少なくありません。
しかし介護者が在宅介護サービスに対して期待している部分をしっかりと伝えなければ、介護ストレスを軽減させることはできないのです。
サービス関係者は介護が必要な高齢者だけではなく、介護者も健康に暮らしていけるように考えています。そのため情報を共有することができれば、介護はとてもラクになるものなのです。